耳栓は、騒音からの保護、集中力の向上、安眠効果など、日常の多くの場面や用途に役立つアイテムです。しかし、店頭やネットで見かける耳栓の種類の多さから、どこから始めたらよいのか、どう選べば良いのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
耳栓には、完全に音を遮断するものから、特定の高さや質の音だけをカットするものなど、さまざまなタイプがあります。また、素材や形もさまざまです。
この記事では、これから耳栓の購入を考えている方に向けて、フォームタイプ、フランジタイプ、シリコンタイプ、デジタルタイプなど異なるタイプの耳栓の利点や欠点を紹介しながら、自分の使用目的や好みに応じて最適な耳栓の選ぶ方法を伝授します。
ぜひ自分に合った耳栓を見つけて、快適な生活を送りましょう!
耳栓を付けるメリット
まずは、「そもそもどうして耳栓を使うと良いのか?」という問いについて考えてみましょう。
耳栓(イヤープラグ)は、睡眠時や飛行機に乗る時、勉強に集中したい時などに付けるイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、実はこれ以外にもさまざまな場面で役立ちます。以下に耳栓を使用する理由や具体的なメリットを紹介します。
騒音からの保護
- 聴覚障害の防止 : 私たちは、耳の奥の方の「内耳」と呼ばれる部分にある微細な「毛」(有毛細胞)が音波に反応して振動し、その振動が神経を辿って脳に送られることで音が聞こえます。しかし、大きな音を長時間浴びていると、これらの「毛」に不可逆的なダメージが与えられ、次第に聴力が落ちていってしまいます。このため、工事現場や飛行機内、ライブやコンサート会場などの騒音が激しい場所では、耳を保護するのに耳栓が非常に役立ちます。耳栓やイヤープロテクターは、爆音から耳を保護することで、聴覚障害を防ぎ、長期的な耳の健康を保ってくれるのです。
- 耳鳴りの予防 : 高音量の環境に頻繁にさらされ続けると、聴力が低下するだけでなく、耳鳴りのリスクも高まります。耳栓は、耳へのダメージを減らすことで耳鳴りを予防してくれるため、予防目的で効果的といわれています。
集中力の向上
- 静かな環境の確保 : 集中したいのに周囲の音が気になって勉強や仕事に集中できない時、あるいは瞑想やリラックスを目的とした静かな環境を作り出したい時も、耳栓が役立ちます。周りの雑音を遮断・軽減することで静かな自分だけの空間を作り、場所に関係なく、集中力して作業に取りかかることができます。
- ストレス軽減 : 周囲の騒音が少なくなることで、精神的なストレスも軽減され、リラックスした状態で作業に取り組めます。
安眠効果
- 睡眠の質の向上 : 家の外の車の音や家族の生活音など、夜間の騒音が気になる場合、耳栓を付けることで静かな環境を作り、質の高い睡眠を確保できるといわれています。良質な睡眠は、身体やメンタルの健康、日中のパフォーマンスにも直結するため、生活のあらゆる場面にポジティブな波及効果をもたらします。
- 不眠症の改善 : 騒音で不眠症に悩んでいる人にとって、耳栓は効果的な対策となり得ます。耳栓をして眠ると、自然なメラトニンが増加し、睡眠の質と長さが改善され、睡眠薬に頼る必要がなくなるなど、さまざまなメリットが報告されています。
耳の保護
- 水の侵入防止 : 水泳やシャワー時に耳栓を使用することで、耳に水が入るのを防ぎ、耳の感染症のリスクを減らします。
- 飛行機での耳圧調整 : 飛行機に乗ったことがある人は、離着陸時に耳が"キーン"としたり、何かが詰まったような聞こえづらさを体験したことがあるかもしれません。これは、耳が急激な気圧の変化の影響をダイレクトに受けることで起こります。耳栓で、気圧調整用の弁を設けることで、気圧の変化にワンクッション置き、鼓膜への負担を減らして、"キーン"とする耳の痛みや圧迫感を軽減することができます。
聴覚過敏の症状の軽減
- 音過敏症の味方 : 耳栓は、聴覚過敏、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)、APD(聴覚情報処理障害)、ADHD、自閉スペクトラム症、耳鳴りなど、音に対する過敏さに悩まされるあらゆる特性または障害を持つ方にも役立ちます。日常生活の中で特定の音や大きな音に過敏に反応してしまう場合、耳栓を使うことでその刺激を和らげ、ストレスを軽減することができます。さらに、耳栓には完全遮音せずに、音量をフィルタリングするタイプなどがあり、外出先でも安心して使用できるため、混雑した場所や騒音が多いエリアでも心にゆとりを持つ手助けをしてくれます。音に過敏な方にとって耳栓は、日々の生活の質を向上させるための重要なツールといえるでしょう。

耳栓の選び方・種類
ここまでで、耳栓のメリットを紹介してきましたが、次に、具体的にどのような耳栓がどのような用途に適しているのかを詳しく見ていきましょう。
耳栓には、フォームタイプ、フランジタイプ、シリコンタイプ、デジタルタイプなどさまざまな種類があります。さらに、それぞれの耳栓には独自の利点と欠点があるため、用途や個々のニーズに応じて最適なものを選ぶことが重要です。以下に、それぞれの耳栓の特長と使用に適した場面について詳しく紹介していきます。
Loopの耳栓
Loopの耳栓は、あらゆるシーンに対応するために目的ごとに大きく4種類から選べるため、初心者でも用途に合ったぴったりな耳栓が見つかります。静かな空間を確保したい時におすすめなQuiet(クワイエット)、会話などの必要な音は拾いつつも騒音を減らしたい時に最適な Engage(エンゲージ)、ライブやイベントなどで爆音から耳を保護するのに適したExperience、3つのモードが切り替えられる次世代耳栓 Switch(スイッチ)などがありますが、Loopの高機能な耳栓にはいずれも以下の共通の特徴があります:
- 必要な音は聞き取れる: Loopの耳栓は、完全遮音ではなく、必要な音は聞き取れる設計になっているため、目覚まし時計や声をかけられた時など、聞き逃したくない音を聞き逃しません。(モデルごとに遮音レベルが違うので購入の際は要確認)
- 聴覚保護具としての認定: Loopの耳栓は、いくつかのノイズ低減レベルに分かれますが、いずれの製品も聴覚保護具(イヤープロテクター)としての認定を受けていて安心です。
- 快適なつけ心地: 4つのサイズのイヤーピース付属で、どんな耳にも優しくフィットし、ソフトな肌触りのシリコン素材を使用しているため、蒸れにくいデザイン。
- 衛生的でエコフレンドリー: 簡単なお手入れで清潔に保つことができ、繰り返して利用できます。
- 様々なシーンで活躍: 睡眠はもちろんのこと、読書、勉強、仕事、旅行など、様々なシーンで役立ちます。
- スタイリッシュ: Loopの耳栓は実用性が高いだけでなく、デザインがシンプルかつスタイリッシュなことで世界中の人に愛用されいます。色の選択肢も多く、日常での使用に向いています。アクセサリー感覚でLoopを選ぶ人も多いです。
他にも、Loop Quietは丸ごと水洗いが可能など、各種使用場面に応じた特徴もあります。

Engage
話し声はそのまま、ノイズだけを低減。
集いの場、日常生活での会話をよりクリアに。耳栓特有の閉塞感を抑え、つけたまま自然な会話が可能。子育てや、聴覚過敏でお悩みの方にも。
フォームタイプ(スポンジタイプ)
フォームタイプは勉強や仕事、睡眠時など、さまざまなシーンで使われている耳栓のタイプで、100円ショップや薬局などでも販売されている安価な商品が多いです。耳栓と聞くと真っ先にこのタイプを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。いわゆる「従来の耳栓」です。
利点:
- フィット感: 耳に挿入すると膨らんで耳の形にフィットする収縮素材なのでサイズをそれほど気にする必要がなく、遮音性が比較的高いです。耳の負担が少ないため痛くなりにくく、多くの人に適しています。長時間使いたい時に適したタイプです。
- 価格: 単価が非常に安価で、使い捨て仕様です。
- 簡便性: つぶして押し込むだけで装着できるため挿入が簡単で、どこでも手軽に使用できます。特別な装置や手間を必要としないため、初心者でも扱いやすいタイプです。
欠点:
- 耐久性: 使い捨てのものが多いため、繰り返しの使用には向きません。数回使用すると劣化し、遮音効果が低下してしまいます。
- 衛生面: 一度使用すると清潔に保つことができません。再利用すると菌が繁殖しやすく、耳の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 防水性: スポンジのため防水性能はなく、プールやお風呂など水が多い場所での使用には不向きです。
フランジタイプ(リブタイプ)
フランジタイプは、ヒレのような形状の部分を耳の穴に差し込んで使うのが特徴です。
シリコン製のものが多く、水洗いも可能なため、使用する機会が多い方におすすめのタイプです。
利点:
- 再利用可能: 洗浄して繰り返し使用できるため、長期間使用が可能です。耐久性が高く、経済的なタイプといえます。
- 遮音性: 遮音性はフォームタイプと比べると低い傾向にあるものの、リブ構造が耳道にしっかりフィットするため、比較的効果的に騒音・雑音をブロックしてくれます。
- 気圧調整: 製品によっては気圧の変化を調節できる機能が付いたものもあるため、飛行機や新幹線など、気圧変化がある環境で耳の不快感を軽減することができます。
欠点:
- フィット感の問題: フランジタイプはフォームタイプより硬いため、耳の形状によってはフィットしにくい場合があります。個々の耳の形に合わせるのが難しく、フィット感が不十分だと遮音効果が低下してしまいます。長時間使用する場合は少し小さめのサイズや柔らかいものを選ぶとよいでしょう。
- 痛み、装着感: 挿入時に違和感を感じることがあります。フランジの素材が硬い場合、長時間の使用で耳が痛くなることがあります。
シリコンタイプ
シリコンタイプの耳栓は、耳の穴には入れずに、耳の穴を覆うように使うのが特徴です。シリコンを材質とする耳栓には、Loopのように、フィルター付きで特定の音だけをカットするイヤープラグタイプのものもあり、「特定の高さや質の音のみをブロックしたい」という方におすすめのタイプです。
利点:
- 柔軟性: 柔らかい素材で圧迫感が少なく、耳に快適にフィットします。形状記憶が可能なシリコン粘土タイプの製品は特に、自分の耳にぴったりフィットさせることができます。シリコン素材は肌に優しく、長時間の使用でも耳が痛くなりにくいです。
- 特定の高さや質の音をカットできる: 耳へのフィット感がしっかりしているため遮音も高性能で、フィルター付きのシリコン製の耳栓は、ノイズを効果的にカットすることができます。
- 防水性: 防水仕様の商品もあり、水泳やシャワー時にも使用可能です。水を遮断し、耳の中に水が入るのを防ぎます。
- 再利用可能: 本体、もしくはイヤーピース部分を丸洗いして繰り返し使用できるため、長期間衛生的に使用することが可能です。
欠点:
- 清掃の手間: 全体がシリコンのモデルは、ほこりや耳垢、髪の毛が付きやすく、定期的な洗浄が必要です。
- コスト: フォームタイプに比べるとやや高価なものが多いです。ただ、再利用可能なため、長期的にはコストパフォーマンスが高いこともあり、機能も優れたものが多いです。
デジタル(イヤホン)タイプ
デジタルタイプの耳栓は、ノイズキャンセリング機能で雑音のみをカットし、音楽や人の声など聞き取りたい音はクリアに聞こえるよう作られている、イヤホンタイプの耳栓のことを指します。日常的に耳栓を使用したい方や音に過敏な方におすすめです。
利点:
- カスタマイズ可能: ANCノイズキャンセリング機能で特定の周波数を遮断したり、増幅したりすることが可能です。モデルによっては多彩な機能が搭載されています。
- 高性能: 音質を損なわずに騒音を効果的に遮断してくれます。環境音や会話を聞き取りながら、騒音のみをカットすることが可能です。
欠点:
- 価格: アナログの耳栓と比べて非常に高価で、初期投資が大きいといえます。高性能ゆえに価格が高く、手軽に購入しづらいです。
- 脳への影響:ANCオンという人工的な静寂に脳が慣れることで、普通の状況で脳が音を聞こうとする力が弱まってしまうことへを懸念する研究者もいるようです。
- 長時間使用には不向き: イヤホンのような付け心地でフィット感が高いものの、商品によってはプラスチック素材で耳が痛くなる場合があるため、就寝時など長時間の使用には不向きです。
- バッテリー: 定期的な充電やバッテリー交換が必要です。バッテリー切れになると使用できないため、他のタイプの耳栓と比べて管理が面倒です。
番外編:イヤーマフ
厳密には耳栓ではありませんが、イヤーマフも非常に効果的な耳の保護手段です。イヤーマフは耳全体を覆うことで高い遮音性を提供し、特に工事現場や射撃場、航空機のメンテナンスなどの大音量な環境での使用に適しています。
利点:
- 高い遮音性: 耳全体を丸ごと覆うため、非常に高い遮音性を持ちます。大音量の騒音環境でも効果的に音を遮断します。
- 快適性: クッション性の高いパッドがついており、長時間の使用でも疲れにくく、耳への圧迫が少ないです。パッド部分が柔らかく、耳に優しい設計がされています。
欠点:
- サイズと携帯性: 大きくて持ち運びに不便な場合があります。特に旅行や外出時にはかさばるため、持ち運びが難しいです。
- 目立つデザイン: 大きくて、目立つデザインであるため、オフィスや外出時での使用時に気になってしまう人が多く、コンプレックスにも繋がりやすく、気軽に使用することが難しいです。
- 使用場所の制限: 室内や静かな環境では不向きな場合があります。耳栓と比べると全体的にサイズが大きく、普段のちょっとした場面での使用には適していないことがあります。
まとめ
この記事では、耳栓(イヤープラグ)の種類と選び方について詳しく解説してきました。耳栓またはイヤープラグは、騒音問題の低減、集中力の改善、安眠の手助け、耳の保護、音に対する過敏さの緩和など、さまざまなメリットをもたらしてくれる便利なアイテムです。
しかしながら、耳栓の種類が多いことに加え、それらの特徴は一長一短であるため、耳栓初心者の方が購入時にしばしば混乱することも事実です。フォームタイプ、フランジタイプ、シリコンタイプ、デジタルタイプといった耳栓のように、特定の用途に適した特徴を有するイヤープラグは、数多く存在します。一方で、多様なシーンに対応可能なLoopの耳栓は、初心者にとって有力な選択肢の一つとなるでしょう。
耳栓のメリットを最大限に享受し、より快適な生活を実現するためには、自分の使用目的や好みに応じて最適な商品を選ぶことが重要です。耳栓選びに迷っている方は、この記事を参考にしながら、自分にぴったりの耳栓を見つけてみてください。最高の耳栓による快い生活空間の先に、より良い日々が待っているはずです!