自閉スペクトラム症(ASD)とは?

自閉症スペクトラム症(ASD)という言葉を耳にしたことはありますか?

これまで、「自閉症」、「広汎性発達障害」、「アスペルガー症候群」など、さまざまな名称で呼ばれていましたが、2013年にアメリカ精神医学界の診断基準であるDSM-5が発表されてからは、こうした発達障害をまとめてASD(自閉スペクトラム症)と呼ぶようになりました。

主に対人関係やコミュニケーションの難しさと、強いこだわり・限られた興味を持つという特性がみられる自閉スペクトラム症ですが、「スペクトラム(範囲)」という言葉が名前に含まれているとおり、症状の度合いにおいて個人差がとても大きいのが特徴です。実際、自閉スペクトラム症の人の中には、話し言葉がない人もいれば、会話のキャッチボールが苦手ではあるものの、とても流暢に話す人もいます。

2013年に改訂された診断基準では、自閉スペクトラム症の人の特性として、光や音などに対する「感覚過敏」が新たに加えられました。感覚過敏は、生活の質を下げる大きな要因になります。特に、「音」に対する過敏性が高いと、日常のあらゆる音が大きなストレスや圧倒感のもととなってしまいます。

このように、自閉スペクトラム症の特性の現れ方はさまざまであるため、適切な理解とサポートが重要です。

ここでは、自閉スペクトラム症の概要の他に、自閉スペクトラム症と「音」との関係、また、音に関する悩みを抱える自閉スペクトラム症の方向けにおすすめしたい耳栓(イヤープラグ)について、詳しく紹介していきます。

一緒に自閉スペクトラム症について正しい知識を身につけ、大切な人の生活の質を向上させるためのヒントを学んでいきましょう。

自閉スペクトラム症(ASD)とは

自閉スペクトラム症、通称ASD(Autism spectrum disorder)は、発達障害の一種で、国内では現在、約50-100人に1人がそうであるといわれています。

自閉スペクトラム症の人の多くでは他の発達障害が併存していることが多く、ある大学の研究では、50%にADHD(注意欠如・多動症)、36%に知的発達症が併存していることが明らかになりました。

ASDの特徴

自閉スペクトラム症の人にみられる主な特徴としては、以下があります。

対人関係やコミュニケーションの困難

自閉スペクトラム症の人は、幼児期から、視線が合わない、人のまねをしない、などの特徴が見られます。言葉に関しても、年齢に比べて発達が遅かったり、独特な言い回しを多用するなどの特徴が現れることがあります。

また、大人になってからは、「相手の立場に立って考えること」が苦手な傾向があります。例えば、職場の上司に「転職活動に役立つと聞いたので、[某業務ソフト]の使い方を教えてください」と聞いてしまうなど、悪気がないにも関わらず、相手の立場や気持ちを想像することが難しいがゆえに、知らずに相手を不快にさせてしまうことがあります。

言葉や言葉以外のサイン(表情、視線、身振りなど)から相手の考えていることを読み取ったり、自分の考えや感情を伝えたりすることも苦手とするため、他の人とのコミュニケーションでトラブルが生じることがよくあります。

他にも、以下のような特徴がみられます:

  • 言語的コミュニケーション:「適当に」「もう少し」「大体」など日常会話で使われる曖昧な表現の理解が難しい、遠回しな表現が通じず言葉の受け取り方がストレート、冗談が通じない、など。
  • 非言語的コミュニケーション:不自然なボディランゲージ、無表情、視線が合わない、目の焦点が定まらない、など。「素っ気ない」「冷たい」と受け取られてしまいやすい。

強いこだわり・限られた興味

自閉スペクトラム症の人のもう1つの大きな特性が、「こだわり行動」や、特定のことに対する強い興味・関心です。

自閉スペクトラム症の人は、好きなものや慣れているもの、信じているものに対して強い執着があり、それらを否定されたりやらなかったりすると、動揺やパニックに陥ってしまうことがあります。例えば、物の配置がいつもと少し違うだけで落ち着かなかったり、同じ行き先には必ず同じ道順で行かないと気が済まない、などが挙げられます。乳幼児期では、偏食がみられたり、特定の遊びや洋服に執着する、などが例として挙げられます。

また、それらに集中し出すと没頭し、周囲が見えなくなってしまうという特徴もあります。

ASDの原因

自閉スペクトラム症の原因については、未だ全容は分かっていませんが、先天的な脳の働き方の違いによって起こるものだと考えられています。何らかの遺伝要因に、さまざまな環境的要因が複雑に影響しあって、脳機能の障害が現れるのではないかといわれています。なお、これまでの研究から、親の子育てが原因ではないことが分かっています。

一見性格によるものだと思われる「こだわり行動」も、脳機能の特性によって、こだわりの対象への強い欲求が現れてしまうことが原因で起こるとされています。

ASDの診断

自閉スペクトラム症の症状は幼少期から認められ、多くの場合、3歳までに診断が可能です。診断は、専門の医師によって行われ、行動観察や発達の過程の確認、経験している困難についての確認などを通して行われます。

一方で、子どもの頃から症状があっても、その時は大きな不適応に至らずに、大人になってから社会生活などを通して困難さに気づくケースがあります。近年は特にこうしたケースが増えており、日本における自閉スペクトラム症の診断は、子どもより大人になってから受けることが多くなっています。

ASDの治療

自閉スペクトラム症には、根本的な治療法のようなものはありません。そのため、一人一人の状態や特性に合わせて環境を調整したり、必要な社会的スキルの獲得をサポートしたり、カウンセリングなどを通して、生活上の困難を減らしていきます。以下に、主な対処方法について説明します:

ABA(応用行動分析)

ABAは、Applied Behaviour Analysis(応用行動分析)の頭文字をとったもので、望ましい行動を増やし、困っている行動を減らしていくためのアプローチです。

この方法は、自閉スペクトラム症の人の行動を、本人と環境の枠組みの中で分析します。その上で、実社会で生きていく上で「望ましい」行動をすると本人にいいことが生じる「強化」の原理を使い、徐々に望ましい行動を増やしていきます。個々のニーズに合わせたプログラムが組まれ、日常生活でのスキルや独立性を向上させることが目指されます。

SST(ソーシャルスキル・トレーニング)

SSTは、Social Skills Trainingの頭文字をとったもので、ロールプレイや共同行動、ゲームなどを含むさまざまなプログラムを通して、対人関係など、社会生活を送る上で必要なスキルを身に付けるためのアプローチです。

言語療法

言語療法は、言語の遅れがある自閉スペクトラム症の子どもに、人とのやりとりや遊びを通じて言語能力を向上させるためのトレーニングです。言語の理解や表現力の向上に加えて、コミュニケーションスキルの開発などが含まれます。個々のコミュニケーションニーズに合わせて、ゲームやロールプレイ、絵カードなど、個別にカスタマイズされた学習方法が提供されます。

特別支援教育

特別支援教育は、自閉スペクトラム症のある子どもたちに適した教育環境を提供することを目的としています。個々の学習ニーズや能力に合わせた教育プランが作られ、特定の技術や支援が提供されます。これには、個別の教育支援や専門家のサポート、特殊教育プログラムへの参加などが含まれます。

環境調整

環境調整は、自閉スペクトラム症の人が家庭や学校・職場で安心して快適に過ごせるよう、一人一人の特性に合わせた物理的な工夫や周囲の協力によって、困りごとが生じにくい環境を整えることを意味します。特に感覚過敏を持つ場合、刺激の元となる光や音になるべく晒されない環境を作ったり、耳栓などのアイテムを持ち歩くようにするなどの予防措置をとることができます。

専門家や医師を交えて、実際に家庭や学校・職場で困った場面を振り返りながら、どういう配慮や工夫があれば困りごとが少なくなるかを考えていきます。

薬物療法

薬物療法は、かんしゃくや自傷行為、不注意・多動性、不眠、抑うつなど、自閉スペクトラム症の二次障害によって生活に支障が出ている場合などに、症状の緩和を目的として行われます。

あくまで症状を抑えることで、本来もっている能力を発揮できるようになることが目的で、一般的に、環境調整や心理療法と併用されます。

自閉スペクトラム症と音の関係

自閉スペクトラム症の人の中には、光や音などに敏感な「感覚過敏」もよくみられます。中でも、音に対して過敏な「聴覚過敏」は、自閉スペクトラム症の人に最もよく見られる感覚過敏だといわれています。一般的に、通常の人よりも音に対する過度の反応や感受性が高く、彼らにとっては、日常的な音や刺激が、通常以上に強く、不快であったり、時には苦痛を引き起こすことがあります。

自閉スペクトラム症の人が聴覚過敏になりやすい理由については、未だにメカニズムはよく分かっていません。対処方法としては、苦手な音からなるべく遠ざける工夫をする他、耳栓などの防音保護具を使って原因となる音を軽減する方法があります。

こうした悩みを抱えている方には、ASD用の耳栓が役立ちます。

音に敏感な自閉スペクトラム症の方におすすめの耳栓

聴覚過敏を持つ自閉スペクトラム症の方にお勧めしたいのが、Loopの耳栓(イヤープラグ)です。

Loopは、聴覚が敏感な人に最適な耳栓(イヤープラグ)です。些細な物音によって神経が刺激されて疲れてしまう時、仕事・勉強や睡眠のために騒音を減らし、静かで落ち着いた空間を作りたい時、イベントでの大きな音から自分の耳を守りたい時に最適です。

不要なノイズを低減する遮音性を持ちつつも、会話には支障のない設計となっているので、いちいち外す必要はありません。また、目立たないデザインと快適な装着感を持つLoopは、日常での使用に向いています。

音に関する悩みはとてもつらいですが、こうしたアイテムを活用して、普段の仕事・学校生活や日常生活を少しでも生きやすくしてみてはいかがでしょうか?自閉スペクトラム症の子ども・大人両方が安心して日々を過ごすための一助となることでしょう。

#color_dusk

Engage

話し声はそのまま、ノイズだけを低減。

集いの場、日常生活での会話をよりクリアに。耳栓特有の閉塞感を抑え、つけたまま自然な会話が可能。子育てや、聴覚過敏でお悩みの方にも。

Loop Engageを見る